※このページでは適応障害について一般的な情報をご紹介しています。実際の診断や治療は、診察でお話を伺ったうえで医師が判断いたします。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

適応障害(適応反応症)とは

適応障害は、職場や学校での問題、人間関係、疾患、家庭環境の変化など、はっきりと確認できるストレスをきっかけに、強い不安や気分の落ち込み、身体の不調などが現れ、仕事、家事、学業、対人関係に支障をきたす疾患です。

「適応障害」という名称から、本人が環境に適応できないことに原因があると思われがちですが、実際には、過重労働やハラスメント、介護負担など、環境側に大きな問題がある場合も少なくありません。
そのため近年、日本では、ストレスとなる状況に対して心身に反応が生じる疾患であることを表す「適応反応症」という名称が用いられるようになっています。

世界保健機関(WHO)の新しい国際疾病分類ICD-11では、ストレスとなった出来事やその結果について考え続ける「ストレス因へのとらわれ」と、仕事や家庭生活などがうまく維持できなくなる「適応の失敗」が重視されています。

症状は通常、ストレスとなる出来事から1か月以内に現れ、ストレス因やその影響が解消された後は、おおむね6か月以内に改善するとされています。
ただし、ストレスが長期間続いている場合には、症状が長引くこともあります。

適応障害は、本人の甘えや気持ちの弱さによるものではありません。
ストレスを我慢し続けると、症状が悪化したり、うつ病など別の精神疾患へ移行したりする可能性もあります。
「つらい環境から離れれば少し楽になるが、戻るとまた症状が出る」といった場合も、一度当院へご相談ください。

適応障害の症状

適応障害(適応反応症)の症状は、一人ひとり異なります。
気分の落ち込みや不安などのこころの症状だけでなく、不眠、頭痛、動悸、腹痛などの身体症状や、遅刻・欠勤、対人トラブルといった行動の変化として現れることもあります。

症状は、原因となる環境や出来事に接したときに強くなり、休日や自宅など、ストレス因から離れた場所では軽くなる傾向があります。
ただし、症状が進むと、ストレス因から離れていてもつらさが続くことがあります。

こんな症状があれば適応障害が疑われます

  • 職場や学校へ行こうとすると、強い不安や憂うつを感じる
  • 特定の人や出来事について、何度も考え続けてしまう
  • 涙が出る、気分が落ち込む、何もする気になれない
  • ささいなことでイライラしたり、怒りっぽくなったりする
  • 緊張が続き、気持ちを落ち着かせられない
  • 眠れない、途中で目が覚める、朝起きられない
  • 食欲が低下する、または食べすぎる
  • 頭痛、めまい、動悸、吐き気、腹痛などが続く
  • 集中力や判断力が低下し、仕事や勉強が進まない
  • 遅刻や欠勤、早退が増えた
  • 家事や身の回りのことができなくなった
  • 人に会うことや連絡を取ることを避けるようになった
  • 飲酒量が増えた
  • 衝動的な行動や周囲とのトラブルが増えた
  • 「逃げたい」「消えてしまいたい」と感じる

適応障害とうつ病との違い

適応障害(適応反応症)は、原因となるストレスが比較的明確で、その環境から離れると症状が軽くなる傾向があります。
一方、うつ病では特定の環境から離れても、強い気分の落ち込みや楽しめない状態が続くことがあります。
ただし、両者は症状が似ており、適応障害からうつ病へ移行する場合もあるため、自己判断は避けましょう。

適応障害の原因

適応障害(適応反応症)は、原因となるストレスの大きさだけで決まるものではありません。
環境から受ける負担である「外因的要素」と、その方の体質、考え方、健康状態などの「内因的要素」が重なって発症すると考えられています。

外因的要素

外因的要素とは、本人を取り巻く環境や出来事によるストレスです。
長時間労働、異動、ハラスメント、受験、いじめ、結婚、離婚、介護、疾患などがあります。
つらい出来事だけでなく、進学、結婚、出産、昇進など、一般には喜ばしいと考えられる変化が負担となることもあります。
また、小さなストレスがいくつも重なり、心身の許容量を超えて発症する場合もあります。

内因的要素

内因的要素とは、ストレスの受け止め方や対処のしやすさに関係する、その方自身の要素です。
真面目で責任感が強い、周囲へ気を配りすぎる、人に助けを求めることが苦手、環境の変化に敏感といった傾向が、負担を抱え込むことにつながる場合があります。

そのほか、過去のつらい経験、発達特性、睡眠不足、慢性的な身体疾患、疲労の蓄積、家族や周囲からの支援の少なさなども、ストレスへの対応力に影響します。
同じ出来事を経験しても、置かれている状況や支援の有無によって、受ける影響は異なります。

適応障害の治療

適応障害(適応反応症)の治療では、症状だけを抑えるのではなく、原因となっているストレスを整理し、その影響を減らすことが重要です。