※このページでは統合失調症について一般的な情報をご紹介しています。実際の診断や治療は、診察でお話を伺ったうえで医師が判断いたします。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
統合失調症とは

統合失調症は、考えや感情、物事の捉え方をまとめる脳の働きが不安定になり、幻覚や妄想、意欲低下、認知機能の低下などが現れる疾患です。
世界各地でみられるもので、100人に数人が発症すると考えられている、けっして珍しくはない疾患です。
人格が分裂する病気ではなく、本人の性格や育て方、努力不足によるものでもありません。
適切な治療によって症状が安定し、学校や仕事、家庭生活を続けられる方も多くいます。
とくに、症状に早く気づいて治療を始めることが、その後の回復や再発予防に重要です。
統合失調症の症状
統合失調症の症状は、主に「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分けて説明されます。
すべての症状が同時に現れるとは限らず、目立つ症状や程度も患者さんによって異なります。
陽性症状
陽性症状とは、健康なときにはなかった知覚や考えが現れる症状です。
代表的なものに、幻覚、妄想、まとまりにくい会話や行動があります。
代表的なのが幻聴で、「自分を批判する声」「行動を命令する声」などが聞こえることがあります。
妄想では、「監視されている」「悪口を言われている」「テレビが自分へメッセージを送っている」など、事実とは異なる内容を強く確信します。
また、話が次々に別の内容へ移る、質問と関係のない返答をする、行動の目的が分かりにくくなるなど、考えを順序立てて整理することが難しくなる場合があります。
陰性症状
陰性症状とは、健康なときにあった感情、意欲、活動性などが低下する症状です。
周囲からは「怠けている」「やる気がない」と誤解されることがありますが、疾患による症状であり、本人の意思だけで改善するものではありません。
主な症状には、表情が乏しくなる、会話が減る、身だしなみに関心を持てない、外出や人付き合いを避ける、好きだったことを楽しめないなどがみられます。
陰性症状は、急性期の後にも残ることがあり、社会生活への復帰に影響します。
ただし、薬の副作用、うつ状態、周囲への不安などによって似た状態が現れることもあるため、その原因を丁寧に見分ける必要があります。
認知機能障害
認知機能障害とは、注意を向ける、記憶する、情報を整理する、計画を立てるなどの働きが低下する症状です。
幻覚や妄想ほど周囲から気づかれやすくありませんが、仕事、学業、家事、対人関係に大きく影響することがあります。
みられる変化としては、集中できない、複数の作業を進められない、優先順位をつけにくい、予定が立てられない、相手の意図を読み取りにくい、などといったことがあります。
統合失調症の原因
統合失調症の原因は、まだ完全には解明されていません。
現在は、生まれ持った体質や脳の働き、心理的・社会的なストレスなど、複数の要因が重なることで発症すると考えられています。
脳内では、ドパミンをはじめとする神経伝達物質の働きや、情報を整理・統合する神経回路の機能が関係していると考えられています。
ただし、単一の物質の異常だけで説明できる疾患ではありません。
遺伝的な要因も発症しやすさに関係しますが、親から子へ必ず受け継がれる疾患ではありません。
家族に統合失調症の方がいなくても発症することがあり、家族に患者さんがいても発症しない方が多くいます。
統合失調症の症状の経過
統合失調症の経過は、一般的には、「前兆期」「急性期」「消耗期(休息期)」「回復期」という段階をたどることがありますが、すべての方が同じ順序や期間で進むわけではありません。
前兆期
幻覚や妄想などの明確な症状が現れる前に、心身や行動の変化がみられる時期です。
不眠、不安、集中力低下、人付き合いの減少、仕事や学業の能率低下などが現れることがあります。
急性期
幻覚や妄想、思考の混乱が強くなります。
本人の不安や恐怖が非常に強く、安全確保が必要な場合には入院治療を検討します。
消耗期(休息期)
急性症状が落ち着いた後、強い疲労感や意欲低下が続くことがあります。
無理に活動を増やさず、十分な休息を確保します。
回復期
生活リズムや活動範囲を少しずつ整えます。
服薬を続けながら、必要に応じてリハビリテーションや就労・就学支援を取り入れます。
統合失調症の治療
統合失調症の治療では、幻覚や妄想などの症状を軽くし、再発を防ぐとともに、患者さんが安心して生活できる状態を取り戻すことを目指します。
治療の中心となるのは、抗精神病薬を用いた薬物療法です。
さらに、患者さんの状態や回復段階に応じて、心理教育、認知行動療法、社会生活技能訓練、作業療法、家族支援などを組み合わせます。